事業等のリスク
JXグループ(以下「当グループ」)の事業において、重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当社が2010年8月13日現在において判断したものです。
(経営統合に関するリスク)
(1) 期待した統合効果が達成できないリスク
当社は、経営統合の第一段階として、平成22年4月1日に新日本石油株式会社と新日鉱ホールディングス株式会社が共同して株式移転を行うことにより設立されました。同年7月1日に、当グループは、経営統合の第二段階として、当社を持株会社とし、その傘下に石油精製販売事業、石油開発事業、金属事業の中核事業会社3社を擁するグループ体制を整えました。
当グループは、統合シナジーの実現、徹底的なコスト削減に向けて取り組んでいます。しかしながら、当グループが統合の過程において直面する種々の課題に対処できない場合には、想定した統合効果が達成できない可能性があります。対処すべき課題のうち主要なものとしては、以下のものが考えられます。
- 組織、企業文化の統合
- 精製能力の削減等、重複する設備の合理化
- 製品やサービスの迅速かつ効率的な一元化
- 経営資源の効率的配分
- 情報システムの統合
(2) 統合により顧客、取引先との関係が変化するリスク
当グループは、統合持株会社となったことで、新日石グループ及び新日鉱グループの顧客、仕入先、ビジネスパートナーから、取引の延期、保留や共同事業の解消などの要請を受ける可能性があります。結果的に、顧客、取引先事業との関係が変化した場合には、当グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(グループ全体に関するリスク)
(1) 原料供給源に関するカントリーリスク
当グループは、原料の多くを海外から調達しており、特に、原油は中東の、銅精鉱は南アメリカ、東南アジア及びオーストラリアの、それぞれ限られた供給源にほぼすべてを依存しています。こうした国、地域における政治不安、社会混乱、経済情勢の悪化、法令・政策の変更等のカントリーリスクにより、当グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(2) 中国その他アジア諸国における事業に関するリスク
当グループの製造する電気銅、石油化学製品、電材加工製品等の販売は中国その他アジア諸国での需要に大きく依存しており、また、当グループは、これらの地域での更なる事業拡大を期待しています。何らかの事由により、これらの地域における当グループの製品に対する需要の減退等が生じた場合には、当グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 外国為替相場の変動に関するリスク
当グループにおいては、外貨建ての営業取引による収入及び支出が発生しており、また多額の外貨建て資産及び負債を有しています。そのため、外国為替相場の変動は、資産、負債、収入及び支出の円貨換算額に影響を及ぼす可能性があります。また、外国為替相場の変動は、海外の連結子会社又は持分法適用関連会社の財務諸表を円貨換算する場合にも重大な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 第三者との提携、事業投資に関するリスク
当グループは、様々な事業分野において、合弁事業その他の第三者との提携及び他企業等への戦略的な投資を行っています。これらの提携や投資は、当グループの事業において重要な役割を果たしており、種々の要因により、重要な合弁事業が経営不振に陥り、又は提携関係や投資における成果を挙げることができない場合は、当グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(5) 事業の再構築に関するリスク
当グループは、コスト削減、事業の集中と効率性の強化を図ることとしており、事業の再構築に伴う相当程度の特別損失が発生する可能性があります。当グループがその事業の再構築を適切に行うことができず、又は、再構築によっても、想定した事業運営上の改善を実現することができなかった場合は、当グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(6) 設備投資及び投融資に関するリスク
当グループにおいては、事業の維持・成長のために、継続的な設備投資及び投融資を必要としていますが、キャッシュ・フローの不足等の要因によりこれらの計画を実行することが困難となる可能性があります。また、実際の投資額が予定額を大幅に上回り、あるいは計画どおりの収益が得られない可能性もあります。
(7) 資源開発に関するリスク
当グループが行っている石油及び天然ガス田並びに銅鉱床における探鉱及び開発活動は、現在、商業化に向けて、様々な段階にあります。探鉱及び開発の成功は、探鉱・開発地域の選定、設備の建設コスト、政府による許認可、資金調達等、種々の要因に左右されます。個々のプロジェクトが商業化に至らず、投資費用が回収できない場合には、当グループの財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 環境規制に関するリスク
当グループの事業は、広範な環境規制の適用を受けており、これらの規制により、環境浄化のための費用を賦課され、環境汚染を生じた場合には、罰金・賠償金の支払いを求められ、又は操業の継続が困難となる可能性があります。当グループの事業においては、相当量の排水、排ガス及び廃棄物が発生し、不測の事態により排出量が基準値を超える可能性があります。また、今後、規制が強化される可能性があります。これらの環境規制及び基準に関する義務や負担は、当グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(9) 操業に関するリスク
当グループの事業は、火災、爆発、事故、輸出入制限、自然災害、鉱山の崩落や天候等の自然現象、労働争議、原料や製品の輸送制限等の様々な操業上のリスクを伴っており、これらの事故、災害等が発生した場合には、多大な損失を蒙る可能性があります。
当グループは、可能かつ妥当な範囲において事故、災害等に関する保険を付していますが、それによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。
(10) 知的財産権に関するリスク
当グループは、事業遂行のため、特許権等の各種知的財産権を保有していますが、状況によってはその確保が困難となり、又は有効性が否認される可能性があります。また、当グループの企業秘密が第三者により開示又は悪用される可能性もあります。さらに、急速な技術の発展により、当グループの事業に必要な技術について知的財産権による保護が不十分となる可能性があります。また、当グループの技術に関して第三者から知的財産権の侵害クレームを受けた場合は、多額のロイヤルティー支払い又は当該技術の使用差止めの可能性もあります。以上のように、当グループがその事業を行うために必要な知的財産権を確保し、又はそれを十分に活用することができない場合などには、当グループの業績に影響を与える可能性があります。
(11) 有利子負債に関するリスク
当グループは、多額の有利子負債により事業活動等が制約を受ける可能性があり、また、負債の元利金支払のために、追加借入又は資産の売却等による資金調達を必要とする可能性がありますが、こうした資金調達を行うことができるか否かは、金融市場の状況、当社の株価、資産の売却先の有無等様々な要因に依存しています。さらに、国内外の金利が上昇した場合には、金利負担が増加することにより、当グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(12) たな卸資産の収益性の低下による簿価切下げに関するリスク
当グループは、多額のたな卸資産を所有しており、原油、石油製品、レアメタルの価格下落等により、たな卸資産の期末における正味売却価額が帳簿価額よりも低下したときには、収益性が低下しているとみて、期末帳簿価額を正味売却価額まで切下げて売上原価等に計上することとなるため、当グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(13) 固定資産の減損に関するリスク
当グループは、多額の固定資産を所有しており、経営環境の変化等に伴い、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、その回収可能性を反映させるように固定資産の帳簿価額を減額し、その減少額を減損損失とすることとなるため、当グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(14) 情報システムに関するリスク
地震などの自然災害や事故等により情報システムに障害が発生し、業務が停止する可能性があります。その場合、当グループの生産・販売活動に支障を来たすとともに、取引先の事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
(15) 内部統制システムの構築に関するリスク
当グループはかねてから、コンプライアンス、リスク管理等の充実に努めており、財務報告に係る内部統制を含め、内部統制システムの充実強化を図っていますが、当グループが構築した内部統制システムが有効に機能せず、ディスクロージャーの信頼性等を確保できない事態が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を一挙に失うことにもなりかねず、当グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(16) 個人情報の管理に関するリスク
当グループは、石油販売、貴金属積立等の事業に関連して顧客の個人情報を管理しており、その保護対策として、今後多額の費用を必要とする可能性があります。また、顧客の個人情報が流出し又は悪用された場合、上記事業に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(セグメント別のリスク)
石油精製販売
(1) 石油精製販売事業におけるマージンの変動に関するリスク
当グループにおける石油製品のマージンは、主に原油価格と石油製品価格との関係に左右され、当グループがコントロールし得ない要因によって決定されます。原油価格に影響を及ぼす要因としては、円の対米ドル為替相場、産油地域の政治情勢、OPECによる生産調整、全世界的な原油需要等があります。また、石油製品価格に影響を及ぼす要因としては、石油製品の需要、海外の石油製品市況、国内の石油精製能力及び稼働率、国内のサービスステーション総数等があります。当グループは、石油製品価格を従来原油価格の変動と連動して決定してきましたが、石油製品の需給状況や市況動向を適切に反映した、公平かつ透明な価格体系を構築すべく、平成20年11月以降、石油製品市況に連動した新価格体系への移行を進めています。従って、原油価格や石油製品市況の動向次第では、マージンが大きく悪化し、当グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、石油化学製品のマージンも原油価格やナフサ等の原料油価格と石油化学製品価格との関係に左右され、当グループがコントロールし得ない要因によって決定されます。石油化学製品価格については、生産設備の新増設による供給能力拡大と衣料・自動車・家電等の需要動向によって影響されます。需給緩和等により、原油・原料油価格のコスト上昇を製品価格に転嫁することが困難になり、当グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 国内の石油製品の需要動向及び競合に関するリスク
先進国を中心として、地球温暖化ガスの削減、省エネルギー・省資源の推進等、地球環境問題への取り組みが一段と本格化し、「低炭素社会」の実現に向けた動きが加速するものと考えられます。このような状況下、国内石油製品需要については、低燃費車の普及、ガス・電気等へのエネルギー転換の進展に影響され、今後も減少を続けることが予想されます。このような国内需要の減少傾向が続くか、あるいは更に加速する場合、当グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、国内石油精製販売事業においては、現在、企業間で激しい競争が行われていますが、国内需要の減少傾向が、この状況を更に加速する可能性があります。このような競争環境の激化が、当グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 原油及び製品の調達元に関するリスク
当グループは、原油については全量を海外とりわけ中東から、製品については一部を海外又は国内から調達しています。産油国における政治情勢の変動及び国内外の製品需給状況等により原油及び製品の調達に支障が生じ、適切な代替供給源を確保することができない場合には、当グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(4) たな卸資産評価に関するリスク
当グループは、原油、石油製品等たな卸資産の評価を総平均法で行っており、原油価格上昇局面では、期初の相対的に安価なたな卸資産の影響により売上原価が押し下げられて増益要因となりますが、原油価格下落局面では、期初の相対的に高価なたな卸資産の影響により売上原価が押し上げられて減益要因となるため、当グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
石油開発
(1) 石油開発事業における原油価格及び外国為替相場変動リスク
石油開発事業においては、原油価格の変動及び外国為替相場の変動によって売上高が増減します。原油価格の上昇時及び円安時には、円ベースの売上高が増加し、原油価格下落時及び円高時には、円ベースの売上高が減少します。従って、原油価格下落局面及び円高局面においては、売上高の減少により、当グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 人材確保に関するリスク
当グループが、石油の探鉱・開発事業において持続的な成長を遂げるためには、高度な専門技術と幅広い経験を有する人材を確保する必要があります。一方、業界においては、優秀な人材を獲得するための競争は非常に厳しくなっており、当グループがこのような人材を確保することは、保証されているものではありません。優秀な人材を十分確保できない場合は、収益機会の逸失及び競争力の低下につながり、当グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 埋蔵量確保に関するリスク
国際的な資源獲得競争により、当グループが埋蔵量を確保するための競争条件は一段と厳しくなっています。当グループの将来における石油・天然ガスの生産量は、探鉱、開発、権益取得等により、商業ベースの生産が可能な埋蔵量をどの程度確保できるかにより左右されます。当グループが石油・天然ガス埋蔵量を補填できない場合には、将来的に生産量が低下し、当グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 石油開発機材に関するリスク
石油及び天然ガスの探鉱及び生産をするため、当グループは第三者から、掘削機等の機材及びサービスの提供を受けています。原油価格が高騰している時期などは、これらの機材及びサービスが不足することになります。当グループが、適切なタイミングかつ経済的に妥当な条件で、必要な機材やサービスの提供を受けることができない場合、当グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
金属
(1) 銅事業における市況変動等に関するリスク
当グループの銅事業は、主として銅製錬事業と海外銅鉱山への投資により利益を得ていますが、それぞれ次のとおり、市況変動等の影響を受け、当グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。銅製錬事業は、海外鉱山から銅精鉱を購入し、電気銅を生産販売する買鉱製錬業(カスタムスメルター)であり、そのマージンは主に、製錬マージンと販売プレミアムからなります。製錬マージンは銅精鉱鉱山との交渉により決定されますが、近年、銅鉱石品位の低下傾向、資源メジャーによる寡占化の動き等から銅精鉱の供給は不足傾向にあり、中国、インド等における需要増も加わって、銅精鉱の需給が逼迫し、製錬マージンの低下圧力となっています。また、当グループの締結している買鉱契約は米ドル建てであり、一部契約には電気銅の国際価格の変動の一部を製錬マージンに反映する規定があるため、円高となった場合又は国際価格が下落した場合には、製錬マージンは減少することになります。販売プレミアムは電気銅の国際価格に付加されるものであり、輸入経費、製品品質等の様々な要因を考慮して顧客との交渉により決定されるため、減少する可能性があります。また、海外銅鉱山への投資事業については、投資先鉱山が販売する銅精鉱等の価格が電気銅の国際価格に基づき決定されるため、国際価格が下落した場合には、当グループの持分法による投資利益が減少することになります。
(2) 銅精鉱の安定調達に関するリスク
銅精鉱需給の逼迫に備え、当グループは銅精鉱の安定調達を図るため海外の銅鉱山に投融資を実施していますが、これらを含む当グループの銅精鉱調達先である海外銅鉱山の操業に支障が生じ、当グループが製錬事業に必要とする銅精鉱を適時に調達できない場合には、当グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 電材加工事業の需要動向、技術革新等に関するリスク
電材加工事業の顧客の多くはIT産業及び家電製品業界に属します。従ってこれら産業における需給の状況及び価格の変動等は、当グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、急激な技術革新及び顧客ニーズの変化に当グループが適切に対応することができない場合には、当グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 電材加工事業の競合に関するリスク
電材加工事業は、激しい競争の中にあり、競合企業の中には当グループに比してより強靭な企業体質を有するものがあります。このような競争の動向次第では、当グループの業績は重大な影響を受ける可能性があります。
(5) 電材加工事業の原材料の調達価格の変動に関するリスク
電材加工事業の原材料は、金属市況等の変動により調達価格が変動します。これら原材料の調達価格が上昇し、製品価格に転嫁できない場合や、市況が期首たな卸資産の帳簿価額を大きく下回る場合には、当グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(6) グールド・エレクトロニクス社(米国法人)の環境問題に関するリスク
子会社であるグールド・エレクトロニクス社(米国法人)は、過去の事業に係る環境問題に関連して、米国スーパーファンド法等の環境法令に基づき特定の米国内指定地域について潜在的責任当事者とされています。同社の最終的な負担額は、地域指定の原因となった物質の量及び有毒性、他の潜在的責任当事者の総数及びその財政状態、改善方法及び技術など多くの要因に左右される可能性があります。グールド・エレクトロニクス社は、上記に関して適切と判断した引当計上を行っていますが、上記要因により実際の負担額が引当額を上回る可能性があり、この場合、当グループの業績に影響を与える可能性があります。
その他
(1) 建設事業における需要変動に関するリスク
建設事業は、舗装、土木、建築の請負工事の需要に大きく影響されます。従って、公共事業又は民間設備投資(居住用不動産の建設を含む)の減少は、当グループの建設事業及びその業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) チタン事業における需要変動等に関するリスク
主力製品である金属チタン(スポンジチタン、チタンインゴット)は、航空機、電力プラント、化学プラント、海水淡水化プラント等の特定用途が需要の中心となっており、また、触媒の用途についても、プロピレン重合用にほぼ特化しています。これらの特定用途向け需要が、国内外の政治・経済情勢の変動や用途先業界の状況変化に伴い大きく変動する場合、製品販売量及び製品価格も大きく変動する傾向があるため、当グループの業績に影響を与える可能性があります。
事業等のリスク(PDF:154KB/7ページ)
